ワタミでステーキ業態を提案した時
ワタミの農場の野菜を使い切るためにステーキとサラダバーの業態を作ったことがあります。
当時ワタミは、有機農産物を作る株式会社としては日本最大規模だったのです。
で、私がステーキ業態を提案した際に、経営企画部門からツッコミが入ったことがあります。
「客単価が下がるから売り上げが落ちるのではないか?」
居酒屋は客単価3000円。
私のステーキ業態は1500円だったのです。
売上 = 客数 ✖️ 客単価
みたいな式があるから一瞬そう思います。
だから無理からぬ心配だと思います。
でも実際は、客単価が下がっても売上は落ちません。
なぜなら居酒屋は2時間から3時間で3,000円。
ステーキハウスはは45分程度で1,500円だったからです。
1時間あたりの売上で見るとステーキハウスの方が高いのです。
聞けば当たり前の話です。
居酒屋産業にいない人はすんなり理解できるでしょう。
しかしながら、人間って自分のフィルターで物事を見る動物なんです。
逆に居酒屋産業にどっぷり浸かっていた人ほど「客単価が下がれば売り上げが下がる」と言ってきました。
経営企画は自分の慣れ親しんだ 「客数 ✖️ 客単価」 というフィルターを通して見てしまう。
居酒屋出身の人は、1回転2時間〜3時間というフィルターを通して見てしまう。
現場で起きていることは、直感的にはわからないので役員や社長には何度も説明する必要がありました。
だから現場と経営層をつなげるってものすごく重要な仕事です。
一部上場企業の役員って、なんでもわかってそうな感じですが意外とそうでもない。
みなさん知らないことは知らないんですね。あたりまえですけど、人間だから限界あります。
ただ、当時は「役員たるもの知らないことがあってはダメだ」みたいな雰囲気だったので、それぞれ強いリーダーを演じざるを得なかったのかなと思います。
業態論とは別の人間学的なところも知らないと業態提案ってできないんだなと学んだものです。