業態を創るときは「差別化」と「トレードオフ」を考えるんだよ。
ということをワタミ入社時の新卒の時の研修で学びました。
「差別化」が「集客」につながり、「売上」を上げる。
そして「トレードオフ」することで、「コスト」が減り「利益」をつくる。
例えばスターバックスさんは、サードプレイスというコンセプトとコーヒーのクオリティを差別化としました。彼らはそこに集中し、それを求めてお客様が来ます。
一方で、料理をトレードオフすることで調理作業や食材管理から解放されることになります。スタバは店内調理しないものを並べてますよね。
本当は美味しい料理も出したいんでしょう。ですがコーヒーショップとしての価格帯でできることとできないことを突き詰めた結果あの形になっているんだと思います。
のちに業態提案を確認する立場になった時に多くの人が間違えるポイントがあるなあと思いました。
それは「差別化」です。
チェーンストアの用語集の定義にはこんなことが書いてあります。
「差別化とは徹底することで卓越すること。決して珍奇なことを付け加えることではない。」
今回、古巣のワタミでは、「寿司の和」という業態が錦糸町にオープンしました。
いわく「ワタミのマーチャンダイジング力を活かしてマグロ業者様と組んで圧倒的なクオリティのお寿司を出します。そこは、お鮨屋でありながら焼き鳥をはじめとして居酒屋メニューも揃っています。飲みながら食べることができる新しいお寿司屋です。」
というようなコンセプトだったかと思います。
一見良さそうですよね。
「お寿司屋で焼き鳥を出すところ」はあまりないです。とても珍奇です。
でも珍奇だから新しいコンセプトになるかというとそうでもない。
この話を聞いたときに「差別化で集客されるのではなかったかな。」と思いました。
お鮨屋で焼き鳥食べたいですか?
確かに、お寿司屋で焼き鳥が並んでいたら食べることはあるかもしれません。
ですが、お寿司屋に焼き鳥があるから食べに「行こう」とはならないと思います。
お寿司屋であるならば、お寿司屋の本分を徹底すること。
産地〜仕入〜物流〜仕込み〜料理〜サービス〜アフターフォロー。
そして内装、立地、企画などなどそれらを一気通貫で一つのコンセプトのもと徹底的にお寿司屋として追求する。
そうやって他社にはできないくらい卓越したお寿司を提供すれば自ずと差別化されるはずです。
「他の寿司屋チェーンとは一味違うな。」それが本当の差別化です。
焼き鳥を出して「他と違うでしょ」というのは差別化でもなんでもないと思います。
必要なことは、目先の物珍しさを演出することではないと思います。
コスト削減のために既存の食材や既存の機器を生かそうとしているのかもしれません。
が、それはお客さまには関係ありません。
差別化が徹底できなければ売上は取れませんので結果的にコスト増になっていくでしょう。
必要なことは本当に美味しいものを出そうとしてお寿司を研究することと、「徹底するべきこと」以外を切り捨てる勇気だと思います。
今回はいい事例だったので取り上げさせてもらいましたが、古巣ですからぜひ成功してもらいたいと思います。
元々ワタミで教えていたことに戻ればうまくいくんじゃないかと思います。
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