人の可能性に光を当てる
H部長からこんな相談をうけたことがあります。
「A君が店長になりたがっています。でも彼の資質を見ると向いていないように思います。」
多くの人にこの質問を受けます。
これは強みを活かす際に、多くの人が陥りがちなところです。
この話には二つポイントがあります。
ひとつは、店長に対するイメージ。
もうひとつは、A君の資質はH部長よりもA君の方が知っているということ。
まず店長に対するイメージです。
本当は、世の中には、いろんな店長像があります。
しかし、多くの人は自分の経験というフィルターを通して見ているものを見てしまっています。
そうして、あたかも自分の見えているものが他の人にも見えていると考えがちです。
ですが、H部長が言っているのは、あくまでも「H部長のイメージする」店長像です。
「資質は中立」という原則があります。
「資質が優れた人や劣った人をつくるのではありません。
その資質が向いている職業やタスクがあるということではありません。」
ということなんですね。
さらに、もうひとつ。
A君の資質はA君自身が一番理解しているということ。
Gallup クリフトン・ストレングスでは、「資質はレッテルではない」というような言い方をします。
資質には、「活発性」とか「ポジティブ」とか「規律性」とかわかりやすい名前がついています。
だから、君は「活発性」だから猪突猛進だよね。
とか「ポジティブ」なんだから面白いこと言ってよ。
とか「規律性」って人に厳しそう。
みたいなレッテル貼りをしてしまうことが多いです。
たいていは、その資質を持っていない人が「イメージ」でいうことが多いです。
たしかに資質の説明のレポートには細かいことが書いてありますが、人間は遥かにもっと複雑なのです。
資質はその複雑な人間を理解する手がかりにすぎません。
私は軽々しく他人の資質を「こうだ」と決めつけることはできないと思っています。
例えば私は、公平性の資質をお持ちでない方に「公平性ってこうだよね」と言われてもピンときません。
なぜなら今年で47歳の私は「公平性」に関しては47年のプロフェッショナルだからです。
「恐れ入りますが、私の方が公平性の扱いに関しては一日の長があります。
軽々に私をご評価されないようにお願いいたします。」という気持ちです。
ですから私はストレングスコーチとしていつもこう思っています。
「H部長が気づいていないA君の資質があるはずだ。
その中で店長という仕事に活用できるものがあるのではないか?」
そうやって可能性に対して光を当てないとなかなか人は成長しません。
ポイントは
「資質が『人』を決めるのではない。その人が『資質』をどう扱うかだ」ということです。
なおGallupでは、「Boss to Coach」というメッセージを発しています。
「マネジャーやチームにとって必要なのは、ボスではなくコーチですよ」というメッセージです。
特に飲食店では店長といわれると強いボス的なイメージありますが、時代は大きく変わってきてます。
いまは多様なマネジメントが活かせる時代になったのです。
そして強みを活かせば商売が成功するというという統計もあるのです。