美味しさの価値
美味しさの価値

美味しさの価値

美味しさの価値

「AIがどんなに発達しようともAIには美味しいものを美味しいと感じることができない。」

と堀江貴文さんがおっしゃっていた記憶があります。

美味しいって感じれるのは、一つ人間の特権かもしれません。

外食産業の仕入チェック

そんな中でFOODBIZという業界誌で神山編集長が外食の仕入戦略について提言されていた。

「今は、どこの外食産業も仕入先の総チェックしている。

現在取引しているところからは、押し並べて価格アップをお願いされる。

外食産業側は、抵抗するも時節柄仕方ないかと思って受け入れざるを得ない。

そんな時に別のメーカーが「うちはこの価格でやらせてもらいます」と提案してくる。

そこで「背に腹は変えられない。これくらいなら良いだろう。」と値下げを受け入れる。

そうすると大抵は一段低い食材をつかまされる。

外食企業側の担当者は『これくらいの品質であれば、わからないだろう。』とタカを括るのだが、実際はそうはならない。お客さまは、よくわかっているのでどんどん客数が落ちてくる。

そして新しい取引先は、ほとぼりの冷めた頃、値上げか品質ダウンをおこなってくる。

だからこそ長い付き合いの取引先を第一優先とすべし。」

よく見ているなあと思います。

美味しいものを出すために品質基準をしっかり保つことが大切だということでしょう。

目先の高い安いではなくきちんと長期的な取り組みをしておこうということでしょう。

ただ、現実的には、神山編集長のいうようなことが外食企業では起きていると思います。

私も仕入れをかじっていたことがあるので、仕入担当者がそうやって流されていくのもわからないでもない。

とはいうものの神山さんのおっしゃっていることが原理原則から正しいと思います。

私はセブンイレブンが商品力で他社を圧倒していく様を見てその原則の重要性を理解しました。

その昔、ワタミのメニュー企画の仕事をしていた時に、当時のセブンイレブンの商品本部長の方の講演を聞きにいきました。

その中で特に役に立ったのが次の話。

「ドミナント戦略が味を美味しくする。」

ということです。

地域に集中してお店を出すと「味が美味しくなる!?」

ドミナント戦略とは、チェーンストアが一定のエリアに集中して出店する作戦のことです。

店同士が近隣エリアにあればメリットはありそうです。

認知度はアップするし、物流効率も上がりそうですし、加盟店への訪問もしやすいでしょう。

新聞広告なども効率が良くなります。

しかし、「味がおいしくなる」っていうのはどういうことでしょう。

セブン&アイのホームページにはこう書いてあります。

「多くのナショナルチェーンが、出店エリアの拡大と、全国展開を志向した中で、セブン‐イレブンの狭いエリアにこだわるドミナント戦略は、「異色」とも見られました。しかし、これによって、セブン‐イレブンは出店エリア内の商圏環境をきめ細かくとらえる店舗開発体制を構築。計画的な出店による出店エリアの拡大と販売力のある新店の創出により出店精度を高めてきました。

それは1974年5月の第1号店である豊洲店のオープン後、「江東区から出るな」という新規店舗開発の方針にはっきりと表れています。そのねらいは、一定の地域内で「セブン‐イレブン」がお客様の目に触れる機会を増すことで、セブン‐イレブンの名称とともにコンビニエンスストアという業態を認知していただくことでした。また、それだけでなく、商品・サービスなどの販売促進に必要な広告宣伝の実施、店舗経営相談員による日々の店舗サポート活動などもエリアを絞ることで、効率的に進めることができます。さらに、おにぎり、お弁当などセブン‐イレブンのオリジナル商品では、この高密度集中出店方式を背景に、独自の専用工場の設置、販売時間帯に合わせた計画的な配送を実現。新鮮で品質の高い商品の提供を可能としました。現在、専用工場数は165拠点(2018年2月末時点)にまで拡大。他社を圧倒する商品開発力の源泉となっています。」

わかりました?

「ドミナントをすれば味がおいしくなる」きちんと答えが書いてありますね。

でも仕入や商品開発の現場に立ったことのない人にはわからないように書いてあります。

「専用工場数は165拠点。

他者を圧倒する商品開発力の源泉となっています。」

セブンイレブンの商品本部長は、これが商品をおいしくする秘訣だとおっしゃっていました。

私も仕入れを勉強するまでは知りませんでしたが、ほとんどのコンビニや外食企業は「専用」工場ではないのです。

つまり、他の企業の商品も作っている工場に商品作りをお願いしなければなりません。

そうするとどうなるか?

専用工場を持っていない企業は、思い通りの味をつくるのに必要な醤油や砂糖などの基礎調味料を指定することができないのです。

その工場に元々ある醤油や砂糖でおにぎりやお弁当を作るしかないわけです。

その状態では味にこだわるには限界があります。

しかも、その工場は他の企業の製品も作っているわけです。

そうしたらその工場は、醤油や砂糖や味噌などは、どうやって決めるでしょうか?

取引先A社、取引先B社のためにそれぞれの商品に合った美味しい醤油を入れるでしょうか?

そんな面倒なことはしないですよね。

どちらにも「うちは他社にも共通の醤油を使ってるんで」と言えば、取引先A社も取引先B社も「仕方ないなあ」と思ってくれるでしょう。

その結果、どの取引先もこだわりを持たなくなれば、その工場は「同じ醤油なら安い方を使おう」という風になるのは想像に難くありません。

美味しさの価値

一方でセブンイレブンは「専用工場」を当初から設定していました。

だから、工場の都合ではなくセブンイレブンの都合できちんと基礎調味料に至るまで指定できたわけです。

そう言った根本的なことについてまでスケールメリットを活かしてきたのがセブンイレブンです。

結果、セブンイレブンは「商品が美味しいからちょっと遠くてもセブンイレブンに行く」というファンが増える。

そしてその結果、セブンイレブンは、残りの大手二社の日販50万円を20万円程度上回ることを可能にしてきました。

たかだか20万円と思うかもしれません。

しかし1店舗20万円でも2万店あれば40億円。

1日あたり40億円の差が生まれてくるわけです。

1ヶ月で上場企業1個分の売り上げくらい変わってくるわけです。

「美味しさ」の価値を舐めてはいけませんね。

もちろんドミナント戦略が商品政策のためだけにあったとは、言いません。

当然、物流コストや認知度のためでもあったでしょう。

しかし、当時のセブンイレブンは、美味しいものを出すために商品開発にまでドミナント戦略を活かすことが徹底されていました。

それは、当時の鈴木会長に「美味しいものを出したい」というこだわりがあったからだと思います。

外食産業が美味しいものを出すためには、一部門、一個人の考えるような小手先の技術での解決は難しい時代になってきたと思います。

産地〜仕入〜工場〜物流〜店舗運営〜マーケティングや経営管理まで一気通貫で考える必要があり、その際の前提は「美味しいものを出したい」という心意気でしょう。

そんな外食企業を応援していきたいと考えています。

だって美味しいものを食べたいですから。

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