「ミッションを考えるチカラ」が見識を高める方法だった
「ミッションを考えるチカラ」が見識を高める方法だった

「ミッションを考えるチカラ」が見識を高める方法だった

「ミッションを考えるチカラ」が見識を高める方法だったという話です、

「なんで外食産業しかやっていないのに教育事業へ参入したのですか?」

と言われることがあります。

確かに、周りから見たら全く畑違いの仕事に見えるのかもしれません。

もちろん具体的な「作業」は飲食と教育では違うと思います。

ですが、考え方というのは、外食の仕事も今のコーチングもあまり変わらないなと思います。

そもそもワタミには外食産業のつもりで入ったのではありませんでした。

渡邉美樹についていけば「経営」を学べる。

そう思って入ったのです。

だからとても面白い22年でした。

年商100億円に満たない会社があっという間に、外食700億円、弁当500億円、介護400億円になりました。

それに必死に食らいついていくことでものすごく「経営」を勉強させていただきました。

ちなみにワタミでは経営には三つのチカラが必要だと教わりました。

「ミッションを考えるチカラ」と「ビジョンを表現するチカラ」と「戦略を実行するチカラ」です。

中でも、「ミッション」つまり「使命」を考えるチカラは徹底的に鍛えられました。

使命は「命を使う」と書きます。

では自分は一体、何のために命を使うのか?

ワタミではいろいろ問いかけられました。

そもそも、外食をやっているのはなぜか?

外食産業の使命とは何か?

産業とは何か?

仕事とは何か?

人生とは何か?

その中で使命とは何か?

お店で生ビール運びながら、チャーハン炒めながら、アルバイトの管理をしながら考えるのだと教わりました。

すごいことを要求しますよね。

そういった日々の「作業」とか「人」「モノ」「金」の管理と同じくらい

この「使命」というのは大事だぞというのです。

最初はよくわかりませんでした。

しかし習慣とは恐ろしいもので、だんだんそれが理解できるようになりました。

これは課題レポートや研修会のおかげかなと思います。

研修会では毎月、「なぜ和民が存在するのか?」という話を聞いていました。

合わせて毎月、課題レポートなるものがありました。

社長からのメッセージや課題本5冊程度を読んだ上でレポートするのです。

中身は感想文ではなく、仕事上の疑問や人生哲学などの自分の見解を社長に提出することで自分の人間的な成長を目論むためなのです。

ほとんどの人が、この課題レポートを、やらされ仕事と思ってたと思います。

当時、めちゃくちゃ働いていた上に、寝ずに研修に行き、さらにこんなレポートもあったわけですから。

思い返してもすごい会社ですね。

だから多くの人が、本の要約や感想文を提出するだけで全く活用していなかったように感じます。

しかし私は、ワタミが他の会社と違う理由は、こういった「根本的な思考」をするところにあると思っていましたので、ちょっと一生懸命やっていました。

根本的な思考、長期的な思考こそがワタミの成功要因です。

「それゆえ単なる一店舗の「つぼ八」のフランチャイズが、日本を代表する飲食、介護、お弁当の会社になったんだ」

と常々渡邉美樹さんは、経営理念の大切さを繰り返し述べていました。

経営理念こそがこの会社の生命線だと。

だからこの「課題レポート」も私は「本業」として22年間毎月提出していました。

経営に関する本や渡邉美樹さんの社内報メッセージを読んだ上で、自分の1ヶ月体験したことを加えてレポートするわけです。

この「自分の経験したこと」を加えるのが実は大変重要でして。

これはワタミではなく、安岡正篤という歴代総理のご意見番組と呼ばれた方の本に書いてありました。

「情報をバラバラに取り入れても身につかない。

バラバラの情報を整理整頓することで体系化する。

これで初めて『知識』というものになる。

だが、『知識』も単なる『知識』だと使い物にならない。

自分の経験を照らし合わせて初めて物事の判断に使える。

そういった物事の判断に使える『知識』のことを『見識』という」

のだそうです。

ですから私たちは知らず知らずのうちに見識を高めることになってたんですね。

ちなみに毎回レポート用紙20枚くらい書いて直属の上司に出していました。

多分読んでなかったと思いますけど。^^;

しかし、このことがリーダーとしての仕事にも役に立つようになったんじゃないかなと。

普段から、人生や仕事について深く考えていたので見識が深くなっていったんでしょう。

人を率いる立ち場になった時や会議の場でとても有効だったんじゃないかと思います。

見識が判断の精度を上げるわけですから。

ただ、私が経営会議とかに出るようになった時には

ワタミという会社は、その場その場で発言する人が多くなっていったと思います。

勢いだけで行っちゃう人もいましたが、たいていどこかでボロが出るものです。

見識ではなく情報だけで判断するので長期的、多面的に間違えちゃうわけです。

とはいえ中には、きちんと『知識』を『見識』にまで高めている人もいました。

そういう方は勢いだけではなく、正しい判断をしてきちんと成果を出していたと思います。

ということで私やワタミにいた人たちは、

外食産業に身を置きながら

仕事とは何か?

教育とは何か?

効果的なチームとは何か?

人間とは何か?

結局、そういうことを考えさせてもらっていた気がします。

私、一人では考えなかったと思います。

おかげで今、色々通用するようになりました。

だから、「なんで外食産業から教育産業へ?そんな畑違いのところに」

と言われますが、私の中では同じ仕事のように思えます。

今は、コーチングも一つの仕事としています。

その人が本当に効果的な人生を過ごすためにどうするか?

そういったことに興味があります。

その上で、自分ではミッションやパーパスをこんなふうに考えています。

こんなことをワタミに入る前から、30年ほど研究してきていることになります。

自分の中では、外食事業30年と合わせて教育事業も30年やってきた感じがします。

結局、人間、知識や頭の良さで人生が変わるのではなく人間力と呼ばれる部分を磨くことが重要だと思っています。

私はそれを「通用するチカラ」と呼んでいますが

今も常に興味があるのはそんなマニアックな話です。

本日も、マニアックなお話を最後までお読みいただきありがとうございます。