度量気象良く「生き切る」という正々堂々なお話
度量気象良く「生き切る」という正々堂々なお話

度量気象良く「生き切る」という正々堂々なお話

ガンジス

東洋哲学では、大自然や宇宙の営みを「造化」という言葉で表しています。
人間もその「造化」の一部で、その一生も大自然や宇宙の法則に従っているということになっています。
なので
一生命体としては「生きている」っていうことだけで、人間は「人生の目的」を果たしていることになるようです。

ならば「ただ生きる」のではなく「生きるを全う」した方がいいのかなと。


なるほどなと思うところも多いです。
それは、長渕剛さんという方の唄をずっと聞いていたからだと思います。
昔、長渕剛さんが30代の頃、人生に迷われた時にインドに行かれた時の話。


当時のインドではガンジス川のほとりで、亡くなった方を焼いて灰をガンジス川に流していたそうです。
その時、長渕さんは、その光景を何時間も見ていて、焼いているご遺体から最後に炎が立ち上るのを見ていたとか。
炎が建物の2階や3階に届くくらいに立ち上るのを見て、人間死んでもこれだけのエネルギーが残っているということを体感されたようです。
自分の中にあるエネルギーを使い切るのが使命だと感じたんでしょうね。
ここから長渕さんは、「生きる」ではなく「生き切る」という方向へ舵を切るわけです。
桜島に7万人集まったライブの時ですね
「僕はインドに行って、『生きる』ということを痛切に感じたんだ。
素晴らしい!!」とおっしゃっていました。


ちなみにインドに行かれた時の情景は、「ガンジス」という歌に記されています。
「ByeByeガンジス
答えなど初めからない
あるのは今確かに「俺」ここにいる
Byebyeガンジス
もっと生きようと
俺の命が叫ぶ
さよなら名も知らない死人たちよ
あなたのように強く死ぬまで生きようと」
33歳でこの境地はなかなかだと思います。
これを聞いて私も「一生懸命生き切ろう」と思った30代でした。

人生流れる雲の如し

なお「一生懸命生き切る」とは「正々堂々生きる」ということにも通じます。


その昔、師匠の渡邉美樹さんが「人生を川に喩えたら、チョロチョロ流れる川ではなく、豪快に流れっぷりのいい川がいい」とおっしゃっていたことがありますが、私もそう思います。


浮浪雲(はぐれぐも)」という漫画があります。
幕末の宿屋の主人の浮浪雲を主人公としていた禅のテイスト溢れる漫画でした。
「人生の正々堂々」のイメージはこの漫画の主人公が私の理想像に近いです。


主人公の浮浪雲は、妻子持ちでありながら、酒好きで仕事をせず、ナンパをして日々暮らしています。
おおよそ主人公らしくないんです。
それでも人望は厚く、彼が一声かければ数百人が集まる実力者という設定です。


ちゃらんぽらんにみえて、物事の本質を掴んで、自由気ままに生きていながら人生の多くの苦労を笑い飛ばしていくというキャラクターです。
麻生太郎さんや小沢一郎さんなどの政治家にも読まれている漫画です。


中学の頃、ビッグコミックオリジナルという雑誌に連載されていた時から読んでいますが最初は全然理解できませんでした。なんなら読んでいてストーリーが破綻しているんではないかと思うこともありました。
ところが高校の頃、少しづつ人生というものは、世の中に出回っているストーリーほど単純ではなく、いろいろ苦労もあるんだなと思い始めた時に読み方が変わってきました。


改めて読んでみると
「あ、これは人生について書いてある漫画なんだな」と気づくんです。


そこから、浮浪雲の世間の評価にとらわれず正々堂々とした生き様がかっこいいなあと思い始めたわけです。最初はただのチャランポランだと思っていたわけですが、清濁合わせのむまさに流れっぷりのいい川のようであります。


「人生流れる雲の如し!!」

おおらかなんですよね。

そして、浮浪雲を何十年も読んでいった先に、なにかの古典で読んだ一文がこの浮浪雲の生き方とぴったりだなと思いました。


どこで読んだのかも忘れてしまったので是非わかる人には教えてもらいたいです。正々堂々と生きるならば、こんな風にという文章だったと思います。


「俗世にとらわれ小智短才になるなかれ
 度量気象良く功立て名に誇るところあらず」

その迷いのない生き様かっこいいじゃありませんか。

人生の目的というのは、必ずしも意義とか使命だけに生きいることだけではないと思います。

人間が実際に求めているのは、緊張感のない状態を味わうことも必要でバランスだと思います。

選択肢は自由で、この世にはいろんな視点があるということです。

天下国家が大事だという人もいます。

しかしながら昔の偉い人は言いました。

心身の純然に比べれば、天下国家なども枝葉末節のうちの一つ。

修身、斉家、治国、平天下

まずは自分の身を修めるところから。